推拿療法

中国の按摩医術・推拿の歴史は、古くから病気を治す方法で、2000年以上前の春秋戦国時代から広く医療に使われていました。
馬王堆漢墓より出土した吊書「五十二病方」 には按摩療法に関わる記述があるのが確認される。
春秋戦国時代 には按摩療法 の一手技が疾病の治療法として用いられていたことを意味している。

打撲 ・捻 挫 ・脱 臼 ・骨折などの外傷性疾患を示すものである。
「 唐令」に基づくとされる「養老令」 の官職按摩生の学習事項において「按摩生学按摩傷折方及判縛之法)」とあって, 古代の按摩治法には包帯法 を含 めた外傷性処置法をも行 っていたことを示している。

唐の時代には按摩医術は、国の医療体制に取り入れられ医師、鍼灸師、と並んで按摩博士、按摩師の医療行為も政府によって定められていました。
 魏、晋、隋、唐の時代には、按摩の専門家がいました。

隋代にはマッサージ医という職が設けられ、唐代にはマッサージ科が設置され、按摩医は按摩はいくつかの役割に分けられていたそうです。

この時期、漢方薬は韓国、日本、インドなどの国に導入されました。
明の時代に按摩医術が臨床科目の一つとなり、清の時代から推拿という医名が用いられるようになりました。

現代中国の推拿

現在は中国の病院で用いられています。
中国の病院には推拿科や按摩科があります。
私が研修したのは按摩科でしたが推拿科もありました。
病状の軽重によって科が別れていました。
推拿は、マッサージと接骨、整体を含んだ総合療法といえるでしょう。
病院では、麻酔を使った手技もありました。
代表的な流派には「一指禅流派」「内功流派」「こん法流派」などがあります。
痛みを取ると同時に内蔵の働きも調節し生理機能を回復させます。
中国医学の治療法のなかでも推拿は、重要な位置を占めています。
湯液・鍼灸に続く療法として位置づけられています。
中国では主要都市23カ所に中国医学専門の医大(中医薬大学)があり
推拿学部が設けられ教育されています。
推拿の治療は主にこれらの医大を卒業し、資格を持った中医師たちによって担われています。

参考図書
李 強:中国推拿医学史略。鍼灸OSAKA, 12(4):88-99, 1997.
推拿療法―中国あん摩療法 (1971年) / 趙 正山/ 間中 喜雄
上記の本はとても参考になりました。絶版ですが専門学校の図書館などにあると思います。

推拿療法の手技

経絡とツボを効果的に刺激
推拿療法は、人体の体表上に各種の手技を施すことによって病気を予防あるいは治療する中国医学の治療法です。
他の手技療法として違っているのは経絡と経穴(ツボ)という概念です。
経絡と経穴(ツボ)を使うことで効果的に改善させることです。
手技は
  • 推法・・・推し滑らす
  • 拿法・・・つかむ
  • 寧[漢字には手偏が加わる]法・・・つまみ揉み
  • 捏法・・・こね揉み
  • 按法・・・もむ
  • とう法・・・おさえこむ
  • 摩法・・・なでる
  • 拍法・・・たたく